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2017-09-19

『理事長のひとりごと vol.2』~純米酒「なんでんの」の開発秘話

でんでん虫の家の利用者さんが植えた山田錦を使って、剣菱酒造により純米酒に仕上げていただいた『なんでんの』の販売が、今年で4年目になります。

4季目の新酒発売を間近に控えた今日は、この『なんでんの』を作るようになった背景をお話します。

平成24年頃、全国的な日本酒の消費低迷によって、日本一の酒米と言われる山田錦の売れ行きが年々減少し、生産調整をしなければならない状況でした。何とか加東市の特産である山田錦の知名度を上げて、日本酒を見直してもらおうと、加東市が中心になって山田錦プロジェクトを立ち上げました。そして、酒造好適米「山田錦」を多くの人たちに知っていただくと共に、『障害のある人たちの就労支援に結びつけたい』との思いから剣菱酒造の協力を得て、オリジナル日本酒を作ることになりました。

当時、私は加東酒米振興会(生産者代表組織)とでんでん虫の会理事の両方の立場で参加しておりましたが、加東市、JAみのり、剣菱酒造、協力農家の安井さんをはじめ大勢の皆さんのお力添えによって、このオリジナル純米酒「なんでんの」の発売を実現することができました。

販売開始後、『障害者就労と農業のマッチングの例はあるが、地域と企業との連携モデルは珍しく、今後もっと進めていくべき』とのお声も頂きました。

今回のプロジェクトで、目的と手段をきっちりと議論して取り組めば、障害者の方には「就労支援」を、山田錦生産者には「山田錦の知名度アップ」を、加東市には「特産山田錦の生産振興と障害者福祉の増進」を、剣菱酒造には「障害者福祉の支援を行う企業としてのイメージアップ」などウイン・ウインの関係を築くことができると確信しました。

『なんでんの』は「なんでこんなにおいしいの。このお酒はなんでんの?」という意味を込めて命名し、ラベルの文字は利用者さんが竹筆によって書かれたものでオリジナル性を出しています。ちなみに、トップページの田植えの写真は、今年6月6日の様子で、平成30年秋販売用の第5回目の田植えになります。

日本一の酒米から作られた素晴らしい純米酒であることはもちろんですが、たくさんの人々のあたたかい心につつまれた魅力あふれる日本酒です。ぜひ一度、その香り、味、そして込められた心を味わってみて下さい。

たわわに実った山田錦の稲穂

(写真提供:JAみのり)

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