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2019-06-14

『理事長のひとりごと vol.25』~「酒造好適米『山田錦』に想う」

『理事長のひとりごと』~「酒造好適米『山田錦』に想う」
今年も、でんでん虫の会の田植えを大勢の皆さんのご協力によって行うことが出来ました。秋の収穫時には良いお米ができ、そして美味しい『なんでんの』のお酒になるよう祈っています。
さて、今回の「理事長のひとりごと」は私の山田錦作りについてお話し致します。
理事長をさせていただく傍ら、山田錦を中心とした稲作を2.6ha行っています。そして、先日田植えを終えることができました。
私の山田錦作りは、昨年父の五十回忌法要をしましたので、今年が丁度50回目の田植えになります。
当初は米の作り方は何もわからず、母や周りの人たちに助けてもらいながら始めた米作りでした。
JAに勤めるようになって、米作りの情報はもらえるようになったのですが土曜・日曜に農業をする、まさにサラリーマン農家で、早く農作業を終わらせJAの仕事に戻るといった片手間な状況でした。
現役を退いてからは、地区内に後継者がなく特産の山田錦を作ることが出来なくなった人から圃場を預かり現在の面積になっています。
山田錦の栽培については、肥料の量や施肥時期、植付の株数、水加減などを変えていろいろ試してみるのですが、収穫量と品質ともに納得のいく山田錦を作ることができていません。いつも、収穫後に反省することばかりです。
もちろん天候に左右される農業ですから、いつもと同じようにしていても結果は違ってきます。やはり、父がよく言っていた「農業は10年平均で考えるもの」のようです。

さて、この酒造好適米「山田錦」は、昭和11年に兵庫県で誕生し80年以上が経過してもこの山田錦を超える酒米が出てきていないことからすると、私たちは良い素材に巡り会っていると思うのですが、海外の日本酒の需要が伸びているものの、最近の若者を中心とした日本酒離れが進んでいる状況に加えて、「山田錦」の知名度が上がり県外各地で栽培されるようになって産地間競争が激しくなっています。
このような状況が続くと、昔のように山田錦の生産調整をしなければいけないのではと危惧しています。
もし、そうなっても酒造会社に選んでもらえるような器量の良い(等級の高い)山田錦を作らなければと改めて思うとともに、「山田錦」開発のために掛けられた先人の方々の思いを大切にしたいと思っています。
また、生産者側にも問題点はあります。私が地区内の耕作できない人たちの圃場を預かっているように、どこの地区でも後継者不足が起こっており大きな問題になりつつあります。もし、耕作できない圃場が増えてくると、圃場の溜池機能(一時的に雨水を溜める機能)が損なわれ、災害が起こる可能性があります。
今から、特産「山田錦」を守っていくためにも、また地域の環境を守るためにも、それぞれの地域で農業のあり方を考えていかなければいけないと思います。

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