『理事長のひとりごとvol.44』~「今年の古代米です」
私は古代米を栽培して20年以上になります。現在、赤米2種類と黒米1種類を植えています。
今年もお盆に赤米[豊ノ栄(とよのさかえ)]が出穂(しゅっすい)しました。
毎年8月の「理事長のひとりごと」はこの古代米のお話しになってしまうのですが、何度見てもこの[豊ノ栄]の透き通った深紅色の芒(のぎ:ひげの部分)が美しく感動してしまいます。 桜が短期間に一斉に花を咲かせ散るように、この深紅色の芒が一週間程で色あせてしまうので余計にそう思うのかもしれませんね。(出穂時と出穂1週間後の姿をご覧下さい)
同じ頃に黒米も出穂しましたが、こちらは赤米のような華やかさはありませんが落ち着いた雰囲気があります。
そして、20日過ぎもう一つの赤米[神丹穂(かんにほ)]が出穂しました。こちらの芒は[豊ノ栄]よりも色が濃く、えんじ色に近い色をしています。
どの古代米も毎年収穫した中から種を取り田植えをしています。つまり交配して作ったイネではないため昔ながらの姿を見せてくれている訳です。
ちなみに、山田錦は交配した中から選抜して酒造りに適した品種を作り出しているので毎年種子を購入しています。
ここで「山田錦」のうんちくをひとつ、「山田穂(やまだほ)」を母に「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」を父として人工交配させて誕生した品種で、昭和11年に「山田錦」と命名されました。一世代目を育種家種子、二世代目を原原種といい、ここまでは加東市沢部にある兵庫県酒米試験地で管理、三世代目を原種といい加東市牧野の種子圃場で栽培していますので私たち山田錦栽培農家は第四世代の種子を買い、酒造会社へ第五世代の山田錦として届けていることになります。
いまだにこの山田錦を越える酒造好適米は現れていないと言われていますが、昨今の新型コロナウイルスのために日本酒の消費が低迷しており、来年は山田錦の生産調整をしなければならないようです。 こんなところにまで新型コロナウイルスの影響が出ており困ったものです。