『理事長のひとりごと vol.21』~池の柴刈りです。
私たちの地区では、農閑期のこの時期に、池の柴刈りという地区をあげての作業があります。
地区には「ため池」が10箇所あります。昔は、農業をするための命水と言われるくらい大切にされてきましたが、鴨川ダム(東条湖)ができてからは、ほとんどダムの水を使うようになりました。
このため、平成24年に「ため池」の必要性について地区で協議して、10箇所のうち2箇所を農業用ため池として使うこととし、残りの池については余水吐き(注1)を切り下げて水を多く溜めない洪水調整用の池として維持管理をしていくことになりました。
この池の柴刈り作業は、「ため池」の堤(つつみ)を守るために、古くから永く続いている作業です。堤に大きな木が生えてしまうと、深く伸びた根が割れ目を作り、漏水から池が決壊してしまう恐れがあるからです。
そのため、いつもこの時期に柴刈りをしているのですが、毎年おこなっているおかげで雑木があまり太くならず、チップソーを着けた草刈り機で処理することができています。
この「ため池」の役割は、言うまでもなく、農業用水に使用するためですが、大雨が降った時に山の表面から流れ出た雨水をストックして徐々に川へ流す洪水調整機能も持っています。これは、水田にもいえることですが、これらが調整機能を果たしてくれるおかげで、災害を未然に防ぐことができています。
もう一つの役割は、地域内で火災が起こった場合に、消火用の水源として利用するためでもありました。最近では消火栓が要所に作られたため、火事が起こったからといって、池の樋(ひ)を抜きに走ることはなくなりましたが、昔は貴重な消火用水でもあったわけです。
最近、国や加東市でも、「ため池」の現況調査や耐震調査が行われ、災害を起こさない政策が進められています。
私たちも、自分たちの「ふるさと」に災害が起こらないよう、みんなで「ため池」を守っていきたいと思います。
(注1)余水吐(よすいばき)・・・ため池の余剰の水を放流する流出口